サイドボードの豆知識
チェストから派生したと言われるサイドボード。
横長で背が低く、収納や作業台にも使える便利なアイテムです。
今回はサイドボードの歴史を覗いてみましょう。
サイドボードの誕生
食事をするためのダイニングテーブルはボードと呼ばれていました。
フランスやイギリスの家庭ではボードの他、ダイニングルームの奥に食べ物やお皿を置くための、しっかりとした作りの木製テーブルが置かれていました。
これがサイドボードと呼ばれ始めました。
時代が経つにつれ、サイドボードにはキャビネットのような収納機能がついたり、食器や器具を収納するための引き出しが取り付けられたりしました。
腰くらいの高さまであり、比較的短い脚を持つものをサイドボードと呼び、脚の長いものはビュッフェとも呼ばれたりもします。
サイドボードとビュッフェの違いって一体何でしょうか?
元々ビュッフェは単にフランス語でサイドボードにあたるものでしたが、
スウェーデンでスモーガスボードと呼ばれる料理形式があり、これが普及するとビュッフェはサイドボードという家具というよりかは食事形式のことを指すようになりました。
スモーガスボードは日本ではバイキングと呼ばれます。
ご存知の通り、テーブルに様々な料理が並べられ、自由に好きなものを好きな量だけ取って食べるスタイルで、立食パーティーでは欠かせないものですね。
また日本ではこの食事形式をビュッフェスタイルとも言いますね。
ステータスとしてのサイドボード
ダイニングテーブルがボード(板)と呼ばれていたのには理由があります。
それは、食事の終わった後は厚みのある長い板、つまりボードと架台に分解され、片付けられていたからです。
その時代、多くの家庭では十分に食事をするためだけのスペースがありませんでした。
それゆえ、サイドボードはある種のステータスシンボルとしても使われ始めました。
裕福な家庭ではサイドボードにシルバー(銀食器)を飾るなどして、見せるための収納を楽しんでいたようです。
君主でさえこれで権力を示していたと言われています。
特にエリザベス1世女王時代には、サイドボードときたらステータスが全てでした。
コートカップボードと呼ばれるものが作られ、ブルボーズレッグなど、迫力のあるデザインが人気でした。
サイドボードのデザイン
18世紀のサイドボードは曲線状の上板に細身の脚がついたものが多く、サイドの収納スペースが中央よりも大きいのが特徴的です。
ヴィクトリア時代のものはサイドボードに鏡がついていたり、動物や架空の生き物の彫刻が施されていたりします。大きく重厚感のあるもの、ロココやゴシック基調のものがよくみられます。
アルヴェールでは、イギリス・フランス製のサイドボードを豊富に取り扱っています。
実際にそれぞれの家具の特徴を見ていってみましょう。
イギリス製のサイドボード
こちらは1920年頃に作られたイギリス製のサイドボードです。
上質なオークで仕上げられており、美しい彫刻が施されています。
ブルーボーズレッグが特徴的です。
外見だけでなく、収納部分にも注目です。
仕切りが用意され、カトラリーを美しくしまうことができます。
実はこの引き出し、取手が付いていないのです。
下の扉を開けてから引き出すことで、ようやく開けることができます。
これは、高価なものを収納しておくために作られた秘密の引き出しです。
アンティーク家具にはこのようなワクワクする発見があります。
ボトルなどを収納できる引き出しスペースはとても機能的です。
フランス製のサイドボード
続いてフランスのサイドボードです。
1930年頃に作られました。
なんと通常の1.5倍ほどもある大きなサイドボードです。
迫力を持ちつつも、フランスらしい猫足と、エレガントな彫刻が施されているのが特徴です。
重厚でオークの輝きが美しいですね。
たくさんのものが収納できる、立派なサイドボード。
大きな絵画とともに配置すればお部屋が一気に華やかになることでしょう。
また、お皿や小物をディスプレイしても素敵ですね。
まとめ
いかがでしたか?
サイドボードの豆知識をご紹介しました。
ダイニングルームにあると嬉しい便利なサイドボード。
上質な素材を使っているため、半世紀以上経ってもその輝きを保っています。
美しいアンティークのサイドボードはきっと私たちの食卓に花を添えてくれることでしょう。
アルヴェールでぜひお気に入りを見つけてください。